週末

金曜日

定時後、カイシャの人たちが歓迎会を開いてくれた。ありがたい。

私は二十歳を越えたあたりからいろいろアレでああだったので、楽しい宴会はほとんど経験したことが無いのだけれど、今回はとても楽しかったな。目尻が下がってしまうんじゃないかと思ったくらいよく笑った。ある人が「今日は楽しいな」と言ってくれたのも嬉しかった。

部屋に戻って、化粧も落とさず服も脱がずにうとうとしていると、さっきまでの出来事はまるで嘘みたいに感じた。人と時間を共有することに慣れない。思い出も本当に共有できているのだろうか。

 

土曜日

遅くに起きて、シャワーを浴び、昼過ぎに家を出た。行く先は東京。カントーのド田舎に越して来たので、こんなこともできる。

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神宮球場で野球を見た。 東京のど真ん中にあんな空間があるなんて贅沢の極みだ。都会の空は縦長である、何かの小説で出てきた一節。神宮の空は広い。午後六時に席に着くと、太陽が沈もうとしているところだった。手に持ったジンジャーハイボールの炭酸の泡が夕日に透ける。それがとろけるように綺麗で、来てよかったなと思った。

試合は楽しかった。両打線ともに好調のようで、ヒットもホームランも出た。ヤクルトの傘の応援、かわいい。次は私も傘を買おう。ヒッティングマーチもちゃんと覚えてこよう。軽い気持ちで来たのに*1、なんだかはまっている。怖いなあ。たのしいなあ。

終電にはもちろん間に合わなかったので、神田のヒトカラ専門店で夜を過ごす。たっぷり歌うつもりだったのに眠ってしまった。

 

日曜日

ガラガラの通勤快速で帰ってきた。車窓の風景を見ていると、東京と私が暮らす田舎は地続きだって実感した。でも東京は特別だ。あのエネルギーに私も常時触れていたいし、あのエネルギーを生み出す歯車の一つ――どんなに小さくてもいいから―になりたいと思っていたし、いまだってそれは変わらない。

 

下手に近づいてみると、なかなか素直に楽しめなかった。目に見える純粋な風景を受け止める前に、嫉妬心が芽生える。東京に縁づいている人たちへの嫉妬。あの場所に、毎日のようにいられる権利を勝ち得た人への嫉妬。そういう意味では、私は完全なる負け組だった*2。上京してしまうと、そのことが浮き彫りになる。恥ずかしい。腹立たしい。かなしい。

それでも、去年の今頃、居場所が見つからなくて途方に暮れていたことを思うと、今の私はとても幸せだ。居場所があって、東京で働くチャンスが無いわけじゃなくて、なんとかご飯を食べられている。そのことは忘れないようにしなきゃな。

 

*1:①今年のうちにプロ野球を生観戦してみたかった

②そのうち神宮球場が改修?されるらしいと聞いたので、その前に一度来てみたかった

*2:そうじゃない意味でもそうだけど