トリコボシムシ

とりこぼしてしまっていたことに今更気付く。遅いよ。もう戻れないよ。

まっただなかにいたわたしはほんとうにばかで、自分に与えられていた幸福に気付きもしないで、不幸な部分ばかりを取り上げていた。視界の隅に映った幸福に関しては、見なかったことにした。特別なことではないと思うようにしていた。後悔するのはわかりきった未来なのに。

そうやって散漫に時を過ごして、どうなるんだろう。どうしてこんなふうにしかできないのだろう。それともできることからも逃げているのか?わかんない。わかんないや。そうやって甘えていたい。でも誰かに許されるわけも無く、敗者としての人生は続く。