さよならサンクチュアリ

 駅の東口にある桜の名所にも行かなかった。

 夏祭りにも行かなかった。

 街路樹が紅葉した大通りはひとりで歩いた。

 12月のイルミネーションスポットは避けた。

 

 私の記憶の中の、□市街地にいる私はいつもひとりだ。夢見ていた大学生活とは180度違う。虚勢を張っていたのかありのままで人をはねよけるのか、わからなくなっちゃった。寂しい女子大生だった。いつもの言い訳をするね。手を伸ばすのが怖かった。

  このまちなら楽しく過ごせる、なんて他力本願もいいところだよ。お前みたいな奴は、どこに行ったって出目金みたいな目玉をギョロギョロと動かして周りを窺うことしかできない。