よいよい

 張り詰めていたような寒さが日に日に弛んでいくのを感じる。春が近いのかもしれない。アルバイトに追われる2月から早く逃げたい気持ちと、このまま前に進み続けるのを躊躇したい気持ちとに挟まれている。4月からの自分は想像もつかない。どんな環境になるのか、どれくらい辛いのか、どこまで耐えられるのか。私には前科がある。いとも簡単に日常を手放してしまったあの頃の自分を理解はできるけど、本当に私の経験だったのか今では記憶が揺らいでくる。それくらい現実感のないことを、私はまた繰り返してしまうかもしれない。夢うつつのままに目覚まし時計のベルを消して、あっさりと布団に戻っていくように。一番怖いのは無意識の中の自分だ。理性で堪えていた非常識なことをしでかす、ほんとうのわたし。どんなに着飾ったってお前には社会性が無いのだと思い知らされる。