アイボリー

 病院を梯子して一日が潰れた。

 午前は持病の定期検診。三カ月に一度採血をして総合病院の内科で経過を診てもらう。血液検査の結果が出るまで一時間半かかるとかで待ち時間が非常に長い。そのため毎回のようにうたた寝をしてしまう。着古したベージュのコートを膝に抱えて目を閉じると、おとなしい野良犬と寄り添っている気持ちになった。犬とたっぷり触れ合ったことはないのであくまで想像にすぎないけれど。数値が上昇してしまったのはここのところ睡眠時間が短いせいだろう。病気が判明して二年と半年が過ぎた。この一年は病気を自分への言い訳にすることが多かった。好きになんて到底なれっこないけれど、長い付き合いになるだろうし、なんとか割り切っていけないかな。無理だな。症状そのものより(もうたいしたことはない。眼球突起が治まりつつあるのが一番嬉しい)、自分の弱さを増長させる主たる要因になっているのが問題だ。

 午後は地元の皮膚科へ。以前の治療を半ば放棄していたので一方的に気まずい。先生はさばけた女性で、会話のテンポのずれから自分の脳味噌の愚鈍さを再認識する。今回は鼻穴の中に膿が溜まって吹き出物ができたというなんとも不潔で間抜けな症状だった。しかし肥大化した吹き出物は鼻呼吸に多少の影響を与えていたし、ネットでこの症状は再発しやすいと知り、受診を決めた。膿を取り除けば何とかなる、ということで、ギュウギュウと吹き出物を搾られた。涙が5ポロリほどするくらい痛くて口は半開きのままだった。しかし、昨日までは膿でパンパンに膨らんでいた吹き出物は、一晩のうちに小さく固くなっており、その試みは失敗に終わった。内服薬と塗り薬で治療していくことになった。見えにくいところもブスなんて嫌なので完治してくれないと困る。鼻の内壁にも毛穴はあるんだなあ。今回吹き出物になった毛穴は開いたままになるのかな。

 健康が一番って実感したので今日はもう眠りたい。