後悔ばかりの人生だ

 先日二カ月ぶりに美容院に行き、人生で初めて染髪した。今まで黒髪でいたのはなんとなくで、染髪を決めたのもなんとなくだった。それでも些細な行為に大きな意味を見出そうと、例の如く過大な期待を寄せてしまった。悪癖は簡単に直せるものではない。案の定この行為は私の暗黒めいた日常を変えるエッセンスとはならず、鏡の中の顔とちぐはぐな髪色を見て落胆せずにはいられなかった。偏った見方からだと、ブスでダサい女子大生も黒髪ならばそれはそれである種の個性が光っているように思えるのに、茶髪の女子大生は皆一様に茶髪の女子大生なのだった。美人もブスも、おしゃれクイーンも着たきりすずめも一緒なのだ。私が黒髪を選んでいたのは、無意識にそんな見方をしていたからなのかもしれない。自分の拠り所を自分で粉砕してしまった。

 会計を終えて晩秋の日差しが暖かい□の街をふらふらしても心はちっとも晴れず、こんな時に限ってバスの列の一つ前にはやたら密着率の高いカップルが並んでいるので辟易した。行動力が著しく低くなるのは、行動したっていい方向に行くことは少ないと今までの体験で実感しているからなのだろう。やってからの後悔もやらない後悔も、どちらも取り返しのつかないという点は一緒で、それならばと疲労の少ない方を選んでしまう。成功している自分を思い描くことは、私にとって非常に難しい。